2011年 11月 19日
プログラムノート〜24の漸進的小品集 Op.44 |
本日11月19日は、毎月恒例の藤井眞吾コンサートシリーズvol.60《24の漸進的小品集 Op.44 Vingt-quatre petites pieces progressives》です。
いつものように、演奏会に先駆けてプログラムノートをアップします。
当日券もございますので、ぜひご来場ください。
=====
F.ソルの「作品44」はおそらく、リサイタル等では殆ど演奏される事のないものであろうと思います。それは、これが初級者のために書かれた練習曲であるから、・・・ないしは小品集だから、・・・という理由に尽きるのですが、しかしこれほどまでに完成の度合いが高く、また作者の音楽を余すところなく伝えている作品は少ないだろうと思うのです。私がこの作品集をこれまでにも何度もプログラムとしてとりあげて来た理由はまさに、そこに尽きるのです。
1830年にソルはギターのための教則本を上梓、刊行しますが、《24の漸進的小品集》と題された作品集が出版されたのはその翌年のことです。誰かに、何かを教えるとき、その方法は様々あるだろうと思います。私は今「教える」という立場に立つ事が圧倒的に多いのですが、教える時、最も大事なことはより多くの方法を持つ事よりも、生徒によって「どの方法を選ぶか」という決断であろうと思っています。それは同時に「間違った方法を選択しない」という意味にもなり、なぜなら方法を間違うと、逆の結果や効果を生む危険性があるからです。
つい先日、中国の杭州というところで、5歳から11歳までの子供達にレッスンをして参りました。実はこんなに小さな子供を教えた事がなかったので、とても心配だったのですが、彼らの集中力や好奇心の強さは大人以上でした。本番の舞台で見せてくれた笑顔は、私を感動させました。
ソルは作品44の24曲の中に、おそらく後世の生徒達のこんな笑顔を想像しながら、作曲したのではないだろうかと思います。
(藤井眞吾/2011年11月24日)
by manzanaM
| 2011-11-19 13:15
| 音楽企画
|
Comments(0)