2012年 10月 27日
プログラムノート《前奏曲集 Preludes 》 |

本日10月27日(土)7時開演
藤井眞吾コンサートシリーズvol.70《前奏曲集 Preludes 》
プログラムノートが届きました。
お問合せはマンサーナ075-972-2834へどうぞ。
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「前奏曲 Prelude」という言葉の語源が「Pre(=前)」と「Lute(=リュート)」という二つの言葉から来ている、すなわち、弦が沢山あって調弦の大変だったリュート演奏者が演奏するまえに、音合わせ方々弾かれる程度の曲、と言う意味である・・・と、ずいぶん昔に聞いたことがありますが、あまりにももっともらしくて、本当だろうか?、と思っています。
今日お聴き頂く曲はブラジルの作曲家、エイトール・ヴィラ・ロボス(1887 - 1959)がギターのために書いた「五つの前奏曲 Cinq Preludes」と言う曲です。ヴィラ・ロボスは、ギターのためにはこの他に「12の練習曲」「ブラジル民謡組曲」「ギター協奏曲」などを残しています。あらゆる楽器、あらゆる編成の作品を書いたヴィラ・ロボスですが、自身のギターの演奏もかなりの腕前であったようです。伝え聞く、パリでのセゴビアとの遭遇の逸話は、なかなか興味深いものです。
南米の音楽にギターは不可欠な楽器ですが、なかでもブラジルは独特のギターの歴史を持っています。ヴィラ・ロボスと殆ど時代を同じくして活躍した、ショーロの大家J.ペルナンブコ(1883 - 1947)、ポピュラー音楽の分野で活躍したD.レイス(1916 - 1977)等の作品もお聞きください。ブラジルに限らず、南米の人々の生活にこれ程までに深く根ざし、関わっているギターは、スペインの場合とはまた違った歴史や重みを持っています。時にはそれらは、あまりにも深淵で、さらにはその尊厳のあまり、私には立ち入る事ができない、と思わせるほどです。ヴィラ・ロボスのギター曲はブラジルの民族音楽の香りを強く持っていますが、書法やスタイルはあくまでもクラシック音楽であり、大きな宇宙を持っています。時代から考えると、当時のギタリスト達には、あまりにも「ぶっ飛んだ」音楽に思えたかもしれません。私がヴィラ・ロボスに興味を持つのは、むしろ、そんなけた外れに“個性的”なところなのです。
(藤井眞吾/2012年10月27日)
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1.前奏曲 BWV998(J.S.バッハ)
J.S.Bach (1685 - 1750): Prelude BWV998
2.《鐘の音》と《インテロガンド》(J.ペルナンブコ)
J.Pernambuco (1883 - 1947):
Sons de Carilhões (CHÔRO) & Interogando (JONGO)
3.《Brasileirinho》と《Pó de Mico》(J.ペルナンブコ)
J.Pernambuco (1883 - 1947):
4.《エストレリータ》(M.M.ポンセ)
M.M.Ponce (1912 - 1976): Estorelita
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《キューバの子守唄》(L.ブローウェル)
L.Brouwer (1939 - ): Canción de Cuna
5.三つの前奏曲(F.ショパン)
F.Chopin (1810 - 1849): 3 Preludes
6.武満 徹 二つの作品
2 Pieces by T.Takemitsu
7.《もしも彼女に訊ねられたら》(D.レイス)
D.Reis (1916 - 1977): Se Ela Perguntar
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《一つのワルツ二つの愛》(D.レイス)
D.Reis (1916 - 1977): Uma Vals e Dois Amores
8.五つの前奏曲(H.ヴィラ=ロボス)
H.Villa-Lobos (1887 - 1959): Cinq Preludes
No.1 叙情的旋律〜ブラジル先住民への讃歌
No.2 カパドシアの旋律〜リオの「ならず者」讃歌
No.3 バッハ讃歌
No.4 ブラジルインディアンへの讃歌
No.5 社会的生活への讃歌〜演奏会や観劇に行くリオの若者達へ
by manzanaM
| 2012-10-27 12:57
| 音楽企画
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