2012年 11月 24日
ギター二重奏の夕べ |

さて、本日11月24日土曜日は、東京から益田正洋さんをお迎えし「ギター二重奏の夕べ」と題して、二重奏ばかりのプログラムでお楽しみいただきます。
満席でしたがキャンセルが出ましたのであと1人か二人はなんとか座れそうです。
ご希望の方は、マンサーナ(075-972-2834)までお電話ください。
いつものように、一足先にプログラムノートをアップいたします。
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本日はF.ソルの作品を中心に、ギター二重奏による音楽をお楽しみ頂くのですが、ギター二重奏はおそらく、ギターの独奏とは違った違った音楽的面白さを持った分野である事を申し上げておきます。それは、四重奏や五重奏、あるいはより大人数のアンサンブルとも違った、面白さと魅力です。
19世紀のギターの作曲家達の多くは、ギター独奏の他に必ずと言っていいほど二重奏作品を残しています。ソルはパリに移ってからの、特に晩年に集中して二重奏曲を残していますが、多くは教育的目的によって書かれたものでした。それは必ずと言っていいほど、どちらかのパートがもっぱら「旋律」であり、もう一方が「伴奏」であるからです。ソルは生徒に伴奏を弾かせることによって、音楽を学ばせようとしていました。
本日お聞き頂く晩年の作品二つ、作品54の「幻想曲」と作品61の「小嬉遊曲」は対照的な音楽です。ソルはどちらかと言うと「寡黙な」音楽家、・・・それは作品もそうであったと思います。些か誤解を招きそうなので、別な言い方をすれば、華やかな技巧を披露する事が決して目的にならなかった作曲家、とでも言うのでしょうか。しかしここに聞く「幻想曲 (Op.54-bis)」は珍しく、饒舌で、しかも終楽章には極めて異例な事にスペイン舞曲を配しています。これはもしかしたら、当時パリが空前絶後のエスニックブーム、出版社や周囲から「スペイン風」の作品をせがまれていた・・・、という可能性があります。
一方「小嬉遊曲 Op.61」は、作品44の小品集と同様に、私にとってはソルの音楽の最も象徴的な要素をもった、傑作のひとつであるように聞こえます。
さて、・・・そういった評価はともかく、益田正洋さんと言う名手をお迎えしての「ギター二重奏の夕べ」お楽しみ頂ければと願っております。
(藤井眞吾/2012年11月23日)
by manzanaM
| 2012-11-24 08:32
| 音楽企画
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