藤井眞吾コンサートシリーズ〜プログラムノート |
「小品集」というタイトル、あるいはテーマはこのコンサートシリーズでもう何回目かになります。それはギターの小品には本当に美しいものが沢山あるからなのですが、私が「小品」という名前や、小品そのものにいささかこだわってきたのは、私自身が若い頃(おそらく40歳くらいまでは)いつも「大曲」を演奏する事にばかり強く関心を持っていた、その反動なのかもしれないと思っています。ところが、生徒を教えるようになって気付いた事は、若い人達は沢山の練習曲を勉強しなければならないのですが、「練習曲」というジャンルの作品でさえ美しいものが多いと言う事、また練習曲嫌いのアマチュアの人達が演奏する小品も、技術の難易度とは関係なくとても美しいものが多いと言う事です。留学して私が習った先生達は、大曲や難曲でも素晴らしかったのは言うまでもありませんが、時折聞かせる小品の演奏では、魂を持って行かれるような、驚くほど美しい瞬間を味あわせてくれました。そしてそういう時にこそ、若かった私達は、先生から学ぶべき重要な何かを発見したような気がします。
(藤井眞吾:記/2018年11月17日)
プログラム
1● アンダンティーノとワルツ ホ長調(F.ソル)
F. Sor (1778 - 1839); Andantino & Waltz from Op.32
2● 練習曲(F.ソル)F. Sor (1778 - 1839); 2 Etudes
- 練習曲 ロ短調《月光》 Allegretto, Op.35-22
- 練習曲 ニ長調《夢》 Moderato, Op.35-17
- 練習曲 ヘ長調《歌》 Andantino cantabile, Op.31-21
3● 夜想曲 Nocturne(C.ヘンツェ)
Carl Henze (1872 - 1946); Nocturne
4● マリア・ルイサ(J.サグレラス)
Julio Salvador Sagrera (1879 - 1942 ); Maria Luisa
5● 白鳥の踊り(V.A.マルサグリア)
V. A. Marsaglia (1926 ? ); Pas du cygne
6● F.タレガの小品集F. Tarrge (1852 - 1909); Obras para la guitarra
- 「前奏曲 第14番 イ長調」 & 「マズルカ《マリエッタ》」
- 「前奏曲 第12番 イ短調」 & 「マズルカ《夢》」
- 「練習曲 第12番 ロ短調」 & 「マズルカ《アデリータ》」
- 「前奏曲 第10 & 11番 ニ長調」 & 「マズルカ ト長調」
- 「前奏曲 ホ長調《ラグリマ》 」
7● 《簡素な練習曲集》より(L.ブローウェル)
L. Brouwer (1939 - ); Estudios sencillos
8● 五つの《舟歌 Barcarolle 》
1. N. Coste (1805 - 1883); Barcarolle, Op.51- 1
2. N. Coste (1805 - 1883); Barcarolle, Op.51- 14
3. A. Tansman (1897 - 1886); Barcarole from « Cavatina »
4. I.Albeniz (1860 - 1909); Mallorca (Barcarola), Op.202
5. A. Barrios (1885 - 1944); Julia Florida (Barcarola)
9● 野ばらに寄す(E.マクダウェル)* プレゼント編曲
E. MacDowell (1860 - 1981); To a Wild Rose
10● 麗しき五月に(R.シューマン)
R.Schuman (1810 - 1856); Im wunderschönen Monat Mai